ミッキーマウスの憂鬱

東京ディズニーランドのバイトになった21歳の若者。
友情、トラブル、純愛……。様々な出来事を通じ、やがて裏方の意義や誇りに目覚めていく。
秘密のベールに包まれた巨大テーマパークの〈バックステージ〉で働く人々の3日間を描く、感動の青春成長小説。 (Amazon.co.jp)
筆者は、ディズニーランドのあの雰囲気に今ひとつ馴染めず、「あの中にはおっさんが入っているんだぜ」などと、ひねくれた発言をする人間の一人であった。松岡圭祐氏の著作であったから今回は読んだのだが・・・

 松岡氏の他の著作に劣らず、本作にも愛情のあるストーリーで一気に読めた。松岡氏得意のちょっと捻ったミステリー調のストーリー。その中にちりばめられた人間同士の心の交流。最初、どうしようもなく勝手で自己中心的な若者である後藤が、他者を思いやり、仕事にも誇りを持ち、前向きに突き進み成長していく姿が、うれしかった。社会に出た若者の多くが「俺はこんなこと(雑用)をするためにこの会社に入ったんじゃない」なんてもうすぐ(5月くらい?)あちこちの酒場で聞かれるはずだ(笑
読後感も暖かな優しい気持ちになれ、良かったと思う。

 ディズニーランドに対しても好感度アップ(笑 あの「世界」が多くの人に支えられていることは間違いなく、我々も出くわす「嫌なこと」にきっと彼らも出くわしていることだろう。それでも彼らは夢の世界を見事に構築している。些細なことでムッとしている自分を恥じ入るばかりである。

 今度誘われた時は、行ってみよう。

                        1. +

ミッキーマウスの憂鬱
著者: 松岡 圭祐
評価: ★★★★