サイレン FORBIDDEN SIREN

1976年、ある島で全島民が突如消失する事件が起きる。事件から29年後、その島に家族とともに引っ越してきた天本由貴(市川由衣)は、隣人(西田尚美)から“サイレンが鳴ったら外に出てはならない”との警告を受ける。(Yahoo!ムービー

 ゲームの世界観をベースに作られたオリジナルストーリー。物語そのものより、作品中に散らばる仕掛けに着目して鑑賞した。

 本作では謎解きのアイテムとして鏡が使われている。作品自体もゲームの世界のパラレルワールドと言う位置づけであり、この鏡の謎解きに関わるヒントとして、登場人物の名前にもある仕掛けが。
 また、本作の一番のこだわりどころである「音」。こだわる部分とわかりやすさの部分の折り合いは比較的上手くついているのではないかと思う。『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』の鑑賞後だけに、この点の大切さを感じた。

また、実際の八丈島の島民の方に協力してもらったという夜美島の島民の不気味さは上手いなと思った。一切動かさないことで、人間をあたかも人形のような存在にしてしまう。これによって、人間がリアルな人形などに対して抱く不快感(不気味の谷)を演出しているのだ。

 物語の決着のつけ方(オチ)に関しては、何でもクリアできるジョーカーをあっさり切ってしまっていて拍子抜け。数々の矛盾もこれを使ってしまうと何でもアリだから・・・
 今回は音や色といった演出法の部分に力が入りすぎていて、話の部分が少しおろそかになっていたのではないだろうか。枝葉の部分は作りこんでいるのに幹が弱い印象。

                        1. +

サイレン FORBIDDEN SIREN
監督: 堤幸彦
出演: 市川由衣 、森本レオ 、田中直樹阿部寛西田尚美
評価: ★★★

 ラストの部分は、ぜんぜん違うのになぜか『催眠』を思い出してしまった。
※蛇足だが、映画『催眠』は原作の小説とはまったく趣を異にしており、原作のシリーズ中では主人公が見た幻覚と説明されて登場している。これもひとつの夢オチといえるかもしれない。