幸せのちから

骨密度を測る新型医療機器のセールスマンとして生計を立てるクリス(ウィル・スミス)は、大儲けを見込んで買い取った機器を思うように売ることができず、家賃や税金を払えない状態に陥ってしまう。妻のリンダ(タンディ・ニュートン)にも去られた彼は、証券会社の正社員を目指して養成コースを受講しようとするが……。 (Yahoo!映画

 実在の人物クリス・ガードナーが、ホームレス状態から億万長者となる実話が基になっている。子供役は主演のウィル・スミスの実の息子。

 淡々とエピソードを追っていく形で、『物語』としての演出が少なく「感動作」といった風情はない。

 事実をテキストに起こしてみると悲惨だったりするのだが、大変さがスクリーンから伝わってこない。これは見る側の人生経験云々とは関係なく、叙事詩を叙事詩として作ったことに起因するものだろう。頭の回転の速さを生かしてお客をとるというところがちらりと出てくるだけでサクセスに向けての高揚感の演出をする気はないようだ。一方で親子愛の描き方も中途半端で、少しだけ『ライフイズビューティフル』てきな演出をしかけるのだがすぐにしぼんでしまう・・・。

 筆者としてはあまり心に残る作品ではないのだが、良い名と思ったのは邦題『幸せのちから』。
『幸せのちから』でおそらく描きたかったであろうことが一言でまとめられている。

 『幸せのちから』は「お金」=「幸せ」とは言っていない。妻を失い、家を失ってホームレスと化しても、愛する息子とともにいき、息子が自分を愛してくれるそんな「幸せ」が「ちから」であり、「幸せのちから」を原動力に彼は厳しい戦いに勝ち残って富を得たのである。

                        1. +

幸せのちから
監督: ガブリエレ・ムッチーノ
出演: ウィル・スミス 、ジェイデン・クリストファー・サイア・スミス 、タンディ・ニュートン 、ブライアン・ホウ 、ジェームズ・カレン 、カート・フラー 、ダン・カステラネタ
評価: ★★★