姑獲鳥の夏

昭和20年代の東京、夏。小説家の関口(永瀬正敏)が古本屋の店主・京極堂堤真一)に「20か月もの間、子供を身ごもっている女性がいる」と相談を持ちかける。(Yahoo!ムービー)

 京極夏彦の人気小説を実相寺昭雄監督が映画化した。

 原作「姑獲鳥(うぶめ)の夏」のレビューは以前書いたが、ついに映画が公開。公開2日目に渋谷の早朝の回に行ったのだが、映画館は満員だった。(他のレビューを見ると空いていたという話もあるが、全国的にはどうなんだろう?)

 心配していた堤真一京極堂は、予想を裏切る好演で、比較的違和感が少なかったが、そのほかの主要キャストに関しては、違うなぁというのが正直なところ。原作であまりにキャラのたっている所為だろうか。映画は映画として別物であるという心構えで見る必要があるだろう。原作のある作品についてはこういった話は否応無くついて回るもので、筆者自身がこの原作に対しての思い入れが強いというのが大きく影響していると思う。

 ストーリーは、あの濃い原作をよくまとめたなと思う一方、やはり端折り過ぎの感は否めない。小さなエピソードや、長広舌を一部カットするのは良いとして、各キャラクターの見せ場が少なすぎる。それぞれの魅力がフィルムから伝わってこない。もっと大胆に登場人物を差別して扱ったほうが良かったのではないか。榎木津や木場がほとんどたいした活躍が出来ていなかったのが残念である。原作を読んでおらず映画だけを見た人には理解しがたい部分が多かっただろうと思う。

 フィルム全体に漂う雰囲気は、監督らしくて結構良いなと思ったので、星を一つおまけ。

 次回作は難しそう。下手に映像にするとB級ホラーに成り下がってしまいそうだしね。

                        1. +

姑獲鳥の夏
監督: 実相寺昭雄
出演: 堤真一 、永瀬正敏 、阿部寛宮迫博之原田知世
評価: ★★★