恋する神父

生涯独身で神に仕えると誓った真面目な神学生・ギュシュク(クォン・サンウ)は、アメリカ帰りの奔放な娘・ボンヒ(ハ・ジウォン)と手違いからキスをしてしまい……。(Yahoo!ムービー)
 この映画出演後、主演のクォン・サンウがカトリックの洗礼を受けたという作品。競演は『ボイス』『友引忌』のハ・ジウォン
 まだまだ続く韓流ブーム、「年上のお姉さま方」に取り囲まれるようにして鑑賞(笑

 大まかなストーリーは元気で奔放な女の子と振り回される優しい男のラブストーリーであるが、この作品ではもうひとつ自分の道と愛する人のどちらを選ぶのか、宗教という日本人にはなかなか難しい題材を扱って描かれている。映画のプログラムによれば、韓国の国民の約半数は何らかの信仰を持っており、そのうちの半数がキリスト教を信仰しているのだという。そういった精神的な下敷きの上でこの作品が製作され、鑑賞されているということを知っておいて損はないだろう。このような状況下では主人公ギュシュクの立場や悩みはより身近で、より大きな問題として感じることができると思う。

 物語といえば、男のほうは最初は煙たがっていた女の子に次第に惹かれていき、女の子の方も男の優しさや芯の部分の魅力を理解して惹かれていき・・・と、ラブストーリーの王道を歩む。ただ、この作品がほかの作品と違ってくる部分のひとつとして、ヒロインの「女」の部分がより強調されているという点が挙げられるだろう。主人公が神学生であるということでこのような演出となっているのだろうが、ハ・ジウォンが魅力的に頑張っている。ボンヒの描かれ方としては、徐々に魅力的な内面がわかるというよりは、ギュシュクと接しているうちに魅力的に変わっていくという感じである。

 クライマックスの聖職授任式のシーンなどは、かなり大掛かりで迫力があった。また、ギュシュクの友人ソンダルが徐々に聖職者としての自覚に目覚めるのも、唐突な感は否めないものの良いシーンだったと思う。ちょっと残念なのはラストシーン。もうひと盛り上がりを期待したのだが、あっさり終わった感じ。

 最後のギュシュクの選択に関して。自身もクリスチャンである筆者としては、十分納得のいく選択であった。最後のギュシュクの台詞はまったく賛同するモノで、うれしかった。信仰とはそういうものである。その中のひとつの選択が聖職に付くことであり、またひとつの選択が家族を愛し、恋人を愛し、隣人を愛するということなのだと思う。

                        1. +

恋する神父
監督: ホ・インム
出演: クォン・サンウ 、ハ・ジウォン 、キム・イングォン 、キム・インムン 、キム・ソンファ
評価: ★★★