樹の海
暴力団組織にそそのかされて5億円もの公金を横領、その後口封じのために殺され、樹海に遺棄された朝倉(萩原聖人)。しかし朝倉は奇跡的に一命を取り留めるが、犯罪者と成り果てた彼に行き場はなかった。(Yahoo!ムービー)
最初のエピソードである 池内博之と小嶺麗奈の話では、筋書きとしては決して悪くないと思ったのだが、電話で話す池内博之の芝居に違和感が激しく、先行きが不安になった。いちいち相手の話したことを復唱する人ってどれだけいるだろうか?一人芝居などで用いられるこの手法も映画であるなら途中から小嶺麗奈にしゃべらせるなり出来たはずだ。語られる内容がズシリと来るものだけに残念。
しかし、他のストーリーが語られていくうちに、物語は静かに高まり、さらに深みを増していく。
同じ一人の演技でも萩原聖人の話は、自ら自殺を考えているような人には是非見て欲しい。徐々に朽ちていく男と図らずも自身が行きつづけることに意味を見出せなくなった男の関係の変化は見た人にも何かをもたらしてくれるのではないだろうか。物言わぬ男の語る言葉を聞いてみるといい。
ほとんど居酒屋の中での会話で成り立つ津田寛治と塩見三省の話など二人の芝居にぐいぐい引き込まれて、店を出た後の場面では一緒に唄いたい気分であった。
また、井川遥の話も最後にはココロが救われる良い話であった。
予想に反して前向きなエンディングを迎えたのだが、良い意味での意外さであり、見てよかったと思う。
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