スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐

クローン大戦が勃発し、アナキン(ヘイデン・クリステンセン)とアミダラ(ナタリー・ポートマン)の秘密の結婚から3年後、分離主義者の勢力はますます拡大。共和国側は窮地に追いこまれていた。アナキンはシス卿のダース・ティラヌス(クリストファー・リー)を死闘の末に倒すが……。(Yahoo!ムービー)
 30年近く続いたスターウォーズのシリーズ完結編。ジェダイの騎士であったアナキンがダース・ベイダーになるまでが描かれている。

 初っ端の戦闘シーンに始まり、ジェダイの闘うシーンは映像技術の進歩があるにせよ一種の舞踏の型のような、独特の趣を持っている。また、戦闘機などのシーンにおけるスピード感はエピソード1から特に顕著になった見せ場の一つであるといえるだろう。(もちろん旧3部作でもそれなりにあったが。)これらは殺陣のリアリティ云々というよりもはや伝統芸能のような気持ちで見てしまっている自分がいる。筆者としては「ヨーダ強いなぁ」が一番の感想かもしれない。(その次に強いのはR2?)

 物語はというと、アナキンははじめから傲慢気味、形だけオビ=ワンに敬意を払っているような雰囲気である。パルパティーンに、鬱積した不満やパドメへの愛情につけこまれて徐々に暗黒面に絡めとられていくアナキンであるが、どうも納得、というか共感できない、と感じた。これだけの長尺の割にアナキンの内面的な変化が唐突で(パンフレットの記述によると監督は「急激な変化」という意図らしい)、そのきっかけが非常に弱いように思うのだ。
 追ってきたパドメの宇宙船にオビ=ワンをみて逆上する場面については、トランス状態に入った人間の判断力の低下であり、たくさんの人を惨殺した直後であるということからも自然な流れだとは思う。しかし、そもそもの大きな原因となっている点、夢で見た出産シーンだけでパドメの身を案じて裏切るというのは?もっと狡猾な罠を張り巡らして欲しかった。徐々に周りが見えなくなる、周囲の人が信用できなくなるといった様子を盛り込んで欲しかった。
 全体的にエピソード4につながるという大前提の所為か、辻褄合わせという世間の評価も仕方ないと思わされる部分が多かった。ミステリー作家とかに相談して脚本を作ったほうが良かったんじゃないかなぁ。
 良かったと思うのは、自分では良いと思ってしていることが実は間違ってしまっていることがある、ということをこれでもかと描いている点。あっさりと帝国への賛同を示す元老院を見て、わが身を振り返った人は何人いただろうか。

 ジョージ・ルーカス 曰く、「スターウォーズはアナキンの贖罪の物語である」
なるほど、エピソード1〜3を踏まえて4〜6を見たとき、なるほどと納得させられる部分は多い。上で辻褄合わせと書いたが、そういう意味で見事な辻褄合わせである。どのようにこの物語を辿るかによって全く違った見方をすることができる。筆者も初めて4〜6を見たときと、まるで違った作品のように楽しむことができるだろう。もし、まだ一切の作品を見ていない人がいれば、やはり一度4〜6を見てからあらためて1から見るという順番お勧めしたい。

                        1. +

スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐
監督: ジョージ・ルーカス
出演: ユアン・マクレガーナタリー・ポートマンヘイデン・クリステンセン 、イアン・マクディアミッド 、サミュエル・L・ジャクソン
評価: ★★★