機動戦士ガンダム 逆襲のシャア

 TVシリーズである「機動戦士ガンダムZZ」の続編にあたる作品で、第1作となる「機動戦士ガンダム」と登場人物が重なるのはココまで。ガンダムの歴史は30年後を描いた「・・・F91」さらに30年後を描いた「Vガンダム」へと続いていく。
 本作ではアムロとシャアのエピソードの決着がストーリーの真ん中におかれ、富野由悠季監督作品の特に「後半」に見られる重いストーリー展開を見せている。

 宇宙世紀0093。新生ネオ・ジオン軍の総帥となったシャア・アズナブルは、宇宙民族の解放を唱え、地球軍との敵対を続けていた。表向きは政府と和平交渉を行いながら、小惑星アクシズを地球に衝突させるという暴挙を計画するシャア。そんな時、彼は宿敵のアムロ・レイと再会する…。(Yahoo!ムービー
間近に、映画「機動戦士Zガンダム 星を継ぐ者」の公開を控えて、自分の中に欠落した作品をぽつぽつと鑑賞中である(2005年3月現在)。その一環として先日「ZZ」を見終わり、今回「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」を見た。
 この歳にして見て思うが、多くの少年少女が見たであろう「ガンダム」、中身は最近の昼ドラもかくやというドロドロの人間関係を描いている。さすが富野作品。男女間の愛情を利用して自分の思うままに操る姿、自らの嫉妬心で何でもありになってしまう女性陣・・・。シャアもかなり「汚い大人」になった。とりあえずファザコンとマザコンの博覧会。

 「Z」ではアムロやブライトとともに戦ったシャアだが、連邦側の腐敗に愛想をつかして再び反旗を翻す。地球に隕石を落として「核の冬」をおこして寒冷化させ、「地球にしがみつく(重力に魂を曳かれた)人々」を全滅させるという作戦を始める。信じた人に裏切られて絶望する、という姿は大人になってから見たほうが身にしみて理解できるし、物語の説得力は増すだろう。仮令、そこから導かれる行為に賛同できなかったとしても。
 2時間の映画にまとめたためか、(本来はこの後TVシリーズが予定されていたとか。)細かいところはやや強引に進んでいくのだが、空気感は十分に伝わってきた。

 だが、ラストはいかにも中途半端。結局どうなったのかがハッキリしないまま終了。このあたりは、インタビューなどで垣間見える富野監督の人間に対する諦念と、相矛盾して捨てきれない人間に対する信じる気持ちが両方出ており、その気持ちの揺れを感じることができる。

蛇足:
ミステリ通信「みすみす」blogで、Yuseum さんがファンネルについて感想をかかれていたので、ちょっと回想。
 あれって元々は無線(?)になったのはエルメスのビットが最初かなと思うが、(多分)ZZで一度だけファンネルのことを「ビット」と呼んだことがあると思う・・・。
 と,ココまで書いた時点で調べてみるとなんか妙に詳しい解説があった
ファンネル - Wikipedia
なるほどねー。

                        1. +

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
監督: 富野由悠季
出演(声): 古谷徹池田秀一鈴置洋孝榊原良子白石冬美
評価: ★★★