アフターダーク

真夜中から空が白むまでのあいだ、
どこかでひっそりと深遠が口を開ける。(帯より引用)

懲りずに村上春樹を読んだ。
筆者はノルウェイの森で初めて村上春樹氏の著書を読んだ。刊行後何年もたってから、結構な年齢になってから読んだのだが、ひどく衝撃を受け、「この人はすごい」と思ったものだ。
その後、氏の著書を何作も読んだのだけれど、だんだんと「!」が「?」に変わっていった。
序盤に意味ありげに差し込まれる伏線(?)。これらがまったく放置され、唐突に終焉を迎える物語。
肩透かしを繰り返され、「今度こそ」と思うのだが、やはり今回も「・・・で?」という感想である。

 ある光景や設定などインスピレーションが沸き、普通ならそこから物語が膨らんでいくのだと思うのだが、村上春樹氏の場合、それらのインスピレーションを情熱を込めて書き(描き)、そこで終了。それらを練り上げ纏め上げて、「物語」として完成させることを放棄しているのではないかと感じる。

 これが「新しい小説世界」というなら「ソウですか」としか答えられない。

                        1. +

アフターダーク
著者: 村上春樹
評価: ★