叫
連続殺人犯を追う刑事の吉岡(役所広司)の頭に、ある日、ふと自分が犯人ではないかという疑問が浮かぶ。曖昧(あいまい)な自身の記憶にいら立ち、苦悩する彼を恋人の春江(小西真奈美)は静かに見つめている。吉岡は同僚の宮地(伊原剛志)の勧めに従い、精神科医の高木(オダギリジョー)の元でカウンセリング治療を始めるのだが……。(Yahoo! 映画)
『CURE』『ドッペルゲンガー』などの独自の、そして恐ろしい雰囲気を作り出すのが得意な黒沢清監督作品。今回は『呪怨』シリーズの一瀬隆重プロデューサー。ホラーというよりはミステリー色が濃い作品になっている。
連続殺人に関わったことを発端に自らに対しても疑いを持ち、自分自身に対しても確信をもてなくなっていく主人公に役所広司。ほかにも恋人役に『天使の卵』や『UDON』小西真奈美、『ゆれる』のオダギリジョーら。
『回路』でもそうだが、黒澤監督は「赤」という色の使いかtが抜群に上手い。『叫』の中でも赤は重要な役割を担っており、主人公吉岡に付きまとう幽霊の衣装は真っ赤だ。スクリーンの中で「赤」を見つけたときの「いた!」という感覚は自然と観客の目をスクリーンにひきつける。赤は異界へと我々をいざなう徴(しるし)なのか。
殺人の犯人を追っていくうちに明らかになる自分との符号に我々は吉岡こそが犯人なのではないかと疑うのだが、『叫』においては実は些細な出来事なのである。徐々に明らかになっていくクライマックスを目にしたとき我々は言葉を失い、「人一人の思い」の重さを再認識する。
「あなただけを許します」
この言葉の本当の意味を知るのはまさにクライマックスを迎えてから。
自分だけを許す、その意味は?
自分以外の誰かとは?
許された自分は解放されるのか?
感情のない無表情を貫く春江の真意は・・・?
「許されること」が背負うモノの重さを筆者は望むだろうか・・・
「全部なしにしようと思った」
この思考がもたらす世界とは・・・
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叫
監督: 黒沢清
出演: 役所広司 、小西真奈美 、葉月里緒菜 、伊原剛志 、オダギリジョー 、加瀬亮 、平山広行 、奥貫薫 、中村育二 、野村宏伸
評価: ★★★★