武士の一分
下級武士の三村新之丞(木村拓哉)は、妻の加世(檀れい)とともに幸せに暮らしていた。しかし、藩主の毒見役を務め、失明してしまったことから人生の歯車が狂い始める。妻が番頭の島田(坂東三津五郎)といい仲であることが判明し、絶望のなか離縁を決意。愛する妻を奪われた悲しみと怒りを胸に、新之丞は島田に“武士の一分”を賭けた果し合いを挑む。(Yahoo!映画)
山田洋次監督の藤沢周平時代劇映画化三部作の最後を飾るヒューマンドラマ。主軸となるのは夫婦の愛。
主演に『2046』の木村拓哉。「何をやっても木村拓哉」などといわれる彼であるが、本作では山田作品に良くなじみ好演していたと思う。
幕末に生きる武士の名誉や夫婦の絆。現代の人間が見て当時のやりきれない封建社会のなかで生きる人の、凛とした生き様がまぶしく、変わらずそこにある家族を思いやる人々の温かさが心地よい。
敵役の坂東三津五郎がさすがの憎たらしい演技で物語を盛り上げるが、なんと言ってもすばらしいのは笹野高史の名バイプレイヤーぶり。全篇を通して存在感を発揮し、面白さや切なさにくっきりと輪郭を刻んでいるようだ。
クライマックスで果し合いをする新之丞が額に締めるのは妻の襷。互いを思いやる「愛情」について見つめなおせる本作は、若者にこそ見てほしい
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武士の一分(いちぶん)
監督: 山田洋次
出演: 木村拓哉 、檀れい 、笹野高史 、小林稔侍 、赤塚真人 、綾田俊樹 、近藤公園 、岡本信人 、左時枝 、大地康雄 、緒形拳 、桃井かおり 、坂東三津五郎[10代目]
評価: ★★★★