ローズ・イン・タイドランド

10歳の少女ジェライザ=ローズ(ジョデル・フェルランド)は、元ロックスターでジャンキーのパパ(ジェフ・ブリッジス)と同じく、ジャンキーのママ(ジェニファー・ティリー)と共に暮らしいていた。ある日、オーバードーズでママを亡くしたパパとジェライザ=ローズは、バスに乗ってテキサスにあるお祖母ちゃんの家を目指す。(Yahoo!ムービー

 『未来世紀ブラジル』や『12モンキーズ』のテリー・ギリアム監督作品。

 悲惨な環境を生きる少女(ジェライザ=ローズ)が主人公で、彼女を演じたのジョデル・フェルランは子供とは思えない演技を見せてくれた。10歳の少女にして男を誘惑、利用するという演出も演出だが、これを見事に演じてしまう彼女も相当なもの。「女」の表情を見せながら成人男性(心は子供)と「結婚」という流れも、見ていて「これ大丈夫かなぁ」と心配になってしまう撮り方だ。

 物語は基本的にローズの夢想世界の中で展開される。といっても現実の状況、出来事を彼女なりの解釈をもって受け止めているということなので、「現実」だけを書き連ねると悲惨極まりない。
 つらい現実に目をそむけ、夢想に逃げ込む主人公の行く末はとても心配。本作の場合、「逃避の先輩」がたくさんでてきて(というか主要キャストは全員そうだ)、何かそれが普通のような世界観なのだが、そのスタンスのまま一歩外に出て現実世界と関わると、ラストのようなことになってしまう・・・

 『未来世紀ブラジル』でも逃避した主人公のお話だったが、監督はこういう生き方がすきなのか?

 筆者はテリー・ギリアム映画のフィルム全体に漂う空気感やビジュアルは決して嫌いではない。しかしながら今作では登場人物のキャラクターに描き分けが少なく、同じような「逃げ」の人ばかりというところで共感が持てず、楽しみにくかった。

※同時期に公開中の『ブレイブ・ストーリー』が「つらい現実との向き合い方」の違った答えを提示している。見比べてみても面白い。

                        1. +

ローズ・イン・タイドランド
監督: テリー・ギリアム
出演: ジョデル・フェルランドジェフ・ブリッジス 、ジェニファー・ティリー 、ジャネット・マクティア 、ブレンダン・フレッチャ
評価: ★★