禁断

彼女に深入りしてはならない、なぜなら…
邦彦の親友が何者かに殺された。生前彼は結婚を口にしていたが、相手は名前を偽り職や住所を転々とする謎の女だった。彼女は何から逃げているのか? 親友の死に関係はあるのか? 真相を求める邦彦に魔の手が迫る!(Amazon.co.jp)

 やはり一番怖いのは人間か。

 不気味な存在が徐々に明らかになってくるにしたがい、その怖さの質も徐々に変化していく。正体のはっきりつかめないものに人は恐怖心を抱く。恐怖の対象がわかり、その理由もわかっていたとしてもなお、得体の知れない不気味さを湛えてしまう。それが人の心なのかもしれない。

 物語後半、収拾のつけ方が少しあっけないというか、それまでの物語をもっと上手く生かして欲しかったというのが感想。そのやり方しかなかったのか?他に方法は?と考えてしまう。
 ラストは恐怖の燃えカスと、希望の種を両方見つけられる終わり方で、余韻をのこす。

                        1. +

禁断
著者: 明野照葉
評価: ★★★