ルート225

中学2年生のエリ子(多部未華子)は、母(石田えり)に頼まれて帰りの遅い弟のダイゴ(岩田力)を迎えにいく。公園にいる弟を見つけ2人で家路を急ぐが、その日は何かが微妙に違っていた。家に帰っても母の姿はなく、その日は父も母も帰宅しなかった。翌日学校に行った2人はやはり以前とは何かがズレていると感じた……。(Yahoo!ムービー

 舞台設定が変わっているため、そちらに目が行ってしまう人もいるかもしれないが、この作品のキーワードはルート225であり、これは主人公の女の子の年齢「15歳」である。
 物語は、時間にして14歳の主人公エリ子が15歳になるまでのあいだ(正確にはその一部だが、いろいろな意味で15歳になるとき)を描いている。

 エリ子は毎日国道225号線(ルート225)をわたって通学しており、弟がよく行く公園も自宅から見るとルート225の向こうだ。ある日弟を迎えに行ったエリ子は、弟とともに不思議な世界に迷い込むことになる。不思議といっても微妙な違いであり、「ナルニア国物語」のような「世界」の描写が大切!といった感じではない。いわゆるパラレルワールドで、現実世界との違いも些細なことが大半。これは思春期の子供が感じる(もちろん大人でも感じることはある)、現実世界に対する違和感の暗喩だろう。自分がこう、と思っているのとは違う現実、思い通りには行かない現実。生きていく中で我々が否応無く放り出されるこの世界を目の当たりにしたとき、人はどのように受け止めていくのか。
 「現実」を受け入れられずに目をそむけるのか。それはそれ、として存在を認め、その上でどう付き合っていくかを模索するのか。

 ラストは切ない終わり方で、かわいそうとも思うが、エリ子の中ではこの状況は胸にストンと落ちている。ここにいるのだからここで生きる、私はここにいてもいい。ということだ。

 細かい笑いがちりばめられていて、もっと深刻になってもおかしくない状況を時折クスリとさせられながら見ることができた。主演の多部未華子は決して美人とは思わないが、魅力のある存在感を発揮しており、将来も楽しみ。

                        1. +

ルート225
監督: 中村義洋
出演: 多部未華子 、岩田力 、崔洋一 、梅沢昌代 、田中要次
評価: ★★★★