最終兵器彼女

小樽の同じ高校に通うクラスメートのちせ(前田亜季)とシュウジ(窪塚俊介)。ある日、シュウジは友人のアツシ(木村了)とアケミ(貫地谷しほり)と札幌へ出かけるが、突然無数の爆撃機が街を攻撃し始める。(Yahoo!ムービー
漫画原作で、この実写の前にアニメ化されている本作。それぞれが違うラストになっているらしい(アニメは未見のため未確認)。原作は主人公の二人がゆっくりと関係を深めていく姿がじっくりと描かれており、凄惨な戦争描写などはかなり後半にならないとクローズアップされていなかったと記憶している。
 この作品を2時間の映画にするときにかなり大胆にいろいろな設定やシーンを省かなくてはならないのは最初からわかっていたはずで、実際本作も二人の恋の部分に焦点を当てたというコメントがプログラムに掲載されている。そういった背景を踏まえて、本作はどうだっただろうか。

 まず最初にあげておかなくてはいけないのはキャストの問題。シュウジ役の窪塚俊介はイメージとはかなりかけ離れていて、きつかった。この作品ありきなら他の役者がいただろうし、キャストありきなら別の作品があったはず。ちせ役の前田亜季は選考段階では割とイメージどおりだったのではないだろうか。全体的にどうもしっくりこない印象を受けるのは演出の問題だと思う。

 映像のほうは、ガメラばりの特撮(CG)のほうに力が入っていて、かと思うと下からのアングルで壊れた町を見せない、妙に狭いアングルで壊れた店1軒しか見せないなど、予算の使いどころに対する苦慮が画面に出すぎていたようだ。

 映像で感じられた、力のいれどころに関する違和感はストーリー構成にも感じられた。二人の恋に関して、冷静に見て描きこみが足りないんじゃないか?というのが率直なところ。北海道だけが戦争のことを知らない、ちせが兵器に改造されるということへの説明もまったくといって良いくらいない、といった「ありえない」を物語の前提として潔く放置するのであれば、もっともっとピンポイントで物語を構成してしまってもよかったのではないかと思う。あれ以上絞れないのかなぁ。
※上記「ありえない」の放置は、こういった作品の場合は基本的に賛成。ハリーポッターが魔法を使えるのと一緒だ。

                        1. +

最終兵器彼女
監督: 須賀大観
出演: 前田亜季窪塚俊介木村了貫地谷しほり川久保拓司
評価: ★★

アニメ
原作