SAYURI

解説: スティーヴン・スピルバーグ製作総指揮、チャン・ツィイー主演による究極の“ゲイシャ・ムービー”。共演には渡辺謙役所広司ら日本の俳優たちのほか、ミシェール・ヨー、コン・リーらアジアの名優たちが顔をそろえる。『シカゴ』のロブ・マーシャル監督が、1人の芸者の人生を描くとともに、豪華けんらんな美の世界を表現する。ハリウッドが描いた斬新な“日本の伝統美”の数々は一見の価値あり。

ストーリー: 幼いころ祗園の置屋に売られたさゆり(チャン・ツィイー)は、不思議な瞳をした美しい少女に成長し、その魅力を武器に一人前の芸者となるべく修行に励んでいた。(Yahoo!ムービー)

 いつも「あれれ?」と思わせられる解説の多いYahoo!ムービーだが、本作に対して銘打った“ゲイシャ・ムービー”という表現はなかなかマッチしていると思う。

 この作品の舞台は日本ではなく、どこか別世界の架空の国の話としてみたほうが楽しめる。日本としてみてしまうとどうしてもあらが目立ってしまい、本質的な部分に目を向けられなくと言う気がする。とはいえ、本作の本質とは?ということになると、人間を描く、というには人物描写は浅く、人物たちが動いてストーリーになると言うよりはストーリーに沿って人物が動いていると言う印象を受ける。映像美を狙った作品と言う見方が一番しっくり来るかもしれない。

 キャストはかなり豪華な顔ぶれだと思うし、演技自体が悪いとは思わないのだが、どうも見ていて登場人物の心の動きに納得感がのらない、というか。特にラストなどは唐突に台詞のみで短時間に片付けました、という感じで今までの話はナンだったのさ、と言いたくなった。

 本作では基本的に皆英語を話す。この、世界中、宇宙中が英語を話すというのはハリウッド映画の特徴であるから目をつぶる。だが、中途半端に日本語の台詞が挟み込まれており、それがへたくそなのがどうにも興ざめだ。それまで英語で流暢に話していたのが突然「オネサン!」とか言われると外国人パブにでも呑みに行った気分(笑 「日本」の空気を映画の中に取り込みたかったのかもしれないがあの演出は失敗だろう。
 逆に日本人俳優の英語のレベルがどの程度なのか筆者にはわからないのだが(あの日本語英語っぽい耳障りから察すると、あまり上手くはないだろう)、アメリカでは言葉の上手い下手とその人の内面的な人格知性と言ったものを切り離して受け止められる土壌があるようなので、我々ほど木にならないのかもしれない。

 Yahoo!ムービーでは主なキャストにのっていないが、筆者は大後寿々花の演じたさゆりの幼少期が一番印象的。

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SAYURI
監督: ロブ・マーシャル
出演: 大後寿々花チャン・ツィイー渡辺謙ミシェル・ヨー役所広司桃井かおり
評価: ★★★