TAKESHIS'

ある時は戦士、ある時は殺し屋、さまざまな人間になり切り、テレビや映画で活躍する、ショウビズ界のセレブ、ビートたけし。一方、彼とそっくりな北野という男はコンビニの店員として働きながら役者を目指していた。(Yahoo!ムービー)

 いつものようにストーリーの導入部分の記述から本レビューも書いているわけだが、この作品に関して言えば、ストーリーはさして重要な意味を持っていない。パンフ上で北野も語っているが一度普通にストーリーどおりに編集し、それを壊すという作業を行っている。つまり、この壊すということが本作においては重要であるということだ。

 また、これまでの北野作品を思い起こさせるシーンをふんだんに使用して、これまでの作品の集大成、区切りとしての作りが行われており、北野作品のファンであればそういった楽しみ方もできるだろう。

 単に物語として楽しもうと言う場合がもっとも困難。作品自体が北野武という監督の頭の中をそのまま撮っているような作りであり、その話自体がいわゆる「夢オチ」というパターンだからだ。夢であるので何でもあり。脈絡の無さもアリだし、同じ役者(登場人物)が、さして(おそらく故意の演出として)演じ分けることをしないで複数の役についている。
 考えずに感じることができれば楽しめるだろう。ちょっとでもつじつまなどを考え始めてしまうと、面白くない。

 北野作品で大きなウエイトを占めるバイオレンスシーンが筆者は苦手。ホラー映画などででてくるそういった類のシーンと違って、どうも体が拒絶してしまう。一連のゾマホンや松村、内山のシーンにしても面白味という方向に感覚が働かない。筆者が凡人と言うことか。

 本作で京野ことみがヌードになっているが、同じシナリオ演出であっても「北野作品」でなければやっていないだろうなぁ。他の大半の日本人監督がこういう作品を撮ったらいわゆる「これだから駄目な邦画」「監督の自己満足の映画」として酷評されてたのではないか。(実際北野監督はこの作品に関しては自己満足で良しとすることにした、と述べている)

                        1. +

TAKESHIS'
監督: 北野武
出演: ビートたけし京野ことみ 、岸本加世子 、大杉漣寺島進
評価: ★★