エリザベスタウン
シューズ・デザイナーのドリュー・ベイラー(オーランド・ブルーム)が新たにデザインした靴の売り上げがさっぱりで会社は倒産寸前、ドリューは会社を首になる。希望を失ったドリューが自殺を決意すると妹から父が死んだと連絡が入る。(Yahoo!ムービー)『ロード・オブ・ザ・リング』のオーランド・ブルーム主演。『スパイダーマン』のキルスティン・ダンストが共演で心配だったが、本作では魅力的でキュートに見えた。ドリューの母親役のスーザン・サランドンの演技もすばらしい。
泣けるところがたくさんある映画だが、筆者は前半主人公ドリューが父親の故郷エリザベスタウンに赴くところでじんわりきた。本当は泣かせどころではないのだが、周りの全てが自分からそっぽを向いていると思える状況の中で、かくも暖かく迎えられるというのが いかにうれしいか。ドリューは戸惑いを受けていたが彼にこれから起こる奇跡の始まりとしてはとても象徴的ないいシーンであったと思う。
こうしたシーンをはじめ、人生経験をある程度重ねた人ならわが身に置き換えて見てしまうだろう場面、台詞、たくさん詰まっている。設定に多少大げさな部分や不自然な部分があっても、それはわが身を振り返ってみればさして重要ではないのではないか。傍から見ている人にとってちっぽけでも、自分のそばにあった出来事はとんでもなく重大事ではないか?そうしたいろいろな出来事の象徴なのだと思う。
たまたまホテルの部屋が隣り合わせただけの人の不幸に心から共感する新婚の若者が出てくる。あー、こいつ馬鹿だけどイイやつだなぁと微笑んでいる自分がいた。
何の照れもなく愛情表現ができる人々がとてもまぶしく映った。
筆者は「村社会」というのがとても嫌いで、嫌な馴れ合いの中で内にこもり、小さな存在を排斥して鬱憤を晴らすような行為を軽蔑している。現実の田舎の町というのは多かれ少なかれこうした側面を持ち合わせているのではないだろうか。しかし本作で登場するコミュニティは、相手を暖かく受け止める存在として機能している。自分が属する大小の集団は、こうした面を育てていきたいと強く思った。
物語後半、クレアがドリューにプレゼントするマップをみて、なんとなく電車男がエルメスに贈ったPCの資料を思い出した。いずれも相手のことを思う気持ちが形になった贈り物だからだろう。
ラストシーン。これで終わり?という人もいるようなのだが、筆者はこれでいいと思う。これから待ちに帰るといろいろな苦労が待っているだろうが、同じ出来事でも本人の受け止め方でその出来事が持つ意味も変わってくるものだ。素直に二人を応援したい。
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エリザベスタウン
監督: キャメロン・クロウ
出演: オーランド・ブルーム 、キルステン・ダンスト 、スーザン・サランドン 、アレック・ボールドウィン 、ブルース・マッギル
評価: ★★★★