ダ・ヴィンチ・コード

閉館後の静寂に包まれたルーブル美術館で起きた殺人事件をきっかけに、明るみに出た不吉な筋書き。それは、キリストの時代以来、ある秘密結社により守られてきたベールをはがすものだった。殺人の被害者は、古くから連綿と続くその秘密結社の総長。彼は死の直前、不気味な暗号を犯行現場に残していた・・・(Amazon.co.jp

あまり熱心ではないものの、筆者はクリスチャンである。教会へは年に一度、クリスマスに行く程度だ。とはいえキリスト教の教えには共感する部分が多々あり、生活の規範としては結構役立っているなどと思っている。

 この作品はキリスト教会側からすれば怒っても当然のような筋書きになっているので、欧米ではいろいろと論議を読んだりしているようだ。私はファンダメンタリストではないし、特に腹が立つようなことはなかった。大体小説だし。それよりも、こうした謎解きっぽい話が好きなので、一気に読めたし、そこそこ面白いと思った。

 が、訳者の問題か、もともとがそうなのか定かではないのだが、「それはズルイ」と思う箇所がいくつもある。
 作品中にどんでん返しが何度かあるのだが、真実を知っている人の心情描写なのに、まるで何も知らないかのように「思って」いたりする。 「そうなるのが判っている」のに、「一人でいるとき」に「呆然として」いたり、黒幕を知っていて、その人物の命令の元動いているのに、その人物を崇拝するような思考と「仮の姿」の人物を侮蔑するような思考が同時に起きていたり・・・

 基本的にはいわゆる事実を「巧く」解釈してストーリーを構築しているので、本当っぽく聞こえるのがミソだ。フランスやイギリスに行って見たくなる。
 ただし、キリスト教とユダヤ教が多少ごっちゃになっているような箇所があったり、「最後の晩餐」の「M」なんかはちょっと強引過ぎるかなぁとおもう。アナグラムに関しては、こういう話では定番で、まあ、何とでもなるというか。子供の頃は「ムー」をよく読んでいたので、なにか懐かしさを感じてしまった。

                        1. +

ダ・ヴィンチ・コード [公式サイト

原作: ダン・ブラウン
評価: ★★★

いま、解説本もたくさん出ているので一冊買ってみた。
(登場した絵画などがわりとたくさん掲載されているもの)
ダ・ヴィンチ・コード」上で、いわゆる「事実」とされている事柄の、その後の展開を把握せずに使用されストーリー展開に影響を与えている部分もけっこうあるようだ。
 といっても、作品として楽しむ分には特に影響は無いというか、「そういうもの」として読めばいいわけで、OK。


映画レビューダ・ヴィンチ・コード