魍魎の匣(もうりょうのはこ)

  • 2003.11.2-

 京極堂シリーズ第二弾。箱に入った状態で発見される少女の手足、なぞの箱型建造物、匣を御神体とする霊能者。ある夜起きた少女の転落事件とバラバラ殺人を巡る不可思議な事件を刑事木場が追う。

 途中で出てくる少女誘拐のトリックのメインとなる“からくり”は、すぐにわかった。しかし、この物語に張り巡らされた世界に右往左往し、それを楽しんだのは紛れも無い事実だ。
魅力的な登場人物は1作目より磨きがかかり、輝きを増している。

 このシリーズ、謎解きももちろん楽しむ要素としてあるのだが、京極堂の語りを聞くことこそが愉しみで在り、これ無くして読者の憑物も落ちない。中には「無駄に長い」なんて言っている人もいるが、この長さにこそ楽しみを見つけてもらいたいと願うのである。

――一瞬でも信用してしまったら、美馬坂さん、あなたの負けだ。これが呪いと云う、あなた方の分野では扱えない僕の唯一の武器だ

                        1. +

魍魎の匣(もうりょうのはこ)
著者: 京極夏彦
評価: ★★★★