ダ・ヴィンチ・コード

閉館後の静寂に包まれたルーブル美術館で起きた殺人事件をきっかけに、明るみに出た不吉な筋書き。それは、キリストの時代以来、ある秘密結社により守られてきたベールをはがすものだった。殺人の被害者は、古くから連綿と続くその秘密結社の総長。彼は死の直前、不気味な暗号を犯行現場に残していた・・・(Amazon.co.jp)

 世界でベストセラーになった同名小説の映画化。主人公ロバート・ラングドントム・ハンクス、そのほかオドレイ・トトゥジャン・レノが共演。

 原作は上下巻の長編で、すべてを2時間程度の映画に収めるのは無理だ。映画化にあたって製作者側は「基本設定や世界観、雰囲気、キャラクターなどを活かした新しい話を作る」「エピソードを絞って再構成する」「原作を既読であるという前提で途中の説明などを端折って作る」などの手法を用いるわけだ。
 本作の場合は「途中を端折る」方法を用いており、作中で起きるアクシデントなどはほぼそのまま盛り込まれている。ただ、いかにも端折りすぎで事象事象の連続性や思考の流れの必然性が損なわれているように感じた。原作ではフィクションなりのリアルな(そう感じさせる)考察が描かれており、物語の展開に乗っていける雰囲気が漂っていた。しかし本作ではそういった部分をほとんど削っているのでご都合主義的な物語展開にみえてしまう。(もちろん原作も物語の都合に合わせて絵画を解釈しているのだけれど)原作の面白味は歴史ミステリーとしてのリアル感とパズルが組みあがっていく快感にあるわけで、話の展開そのものよりも、この「感じ」をこそ、映画にして欲しかった。
(ひとつ穿った見方をすれば、より多くの国で公開し、興行収入を上げたいという思惑から敢えてこういった作りにしているのかも・・・なんてことはないか。)

 結局原作を知らない人には特別取り上げるほどでもない普通のミステリー映画、原作の読者には消化不良な映画化、と感じる人が少なくないのではないか。

 ただし、公開初日の客の入りはかなりのもの。朝一の回から行列ができていた。

原作レビュー:「ダ・ヴィンチ・コード

                        1. +

ダ・ヴィンチ・コード
監督: ロン・ハワード
出演: トム・ハンクスオドレイ・トトゥイアン・マッケランアルフレッド・モリナジャン・レノ
評価: ★★