親切なクムジャさん

子供を誘拐した罪で服役中のクムジャ(イ・ヨンエ)は、囚人の悩みを聞いては、その悩みを解決していた。やがてクムジャは囚人の中から自然に「親切なクムジャさん」と呼ばれるようになる。(Yahoo!ムービー)

韓国映画に数多く取り上げられてきた題材のひとつに「恨」の感情がある。この作品は『オールド・ボーイ』『復讐者に憐れみを』に続くパク・チャヌク監督による復讐三部作の完結作とのこと。三部作といっても前作とつながりがあるわけではない。

 主演のイ・ヨンエがとても美しく、役柄も憎悪を表に出して暴れるというのではなく、にっこり笑って毒を盛るというタイプのため、怖さが引き立つ。その笑顔はまさに「仮面」といえる表情で、イ・ヨンエという女優の力を見せられた気がする。出所後のクムジャの赤いアイシャドウは、彼女の心が流す血の涙か。

 日本も古来仇討ちということがルールまで整備されて行われていたが、育ってきた文化の違いか、韓国の「恨ハン」とは大分趣が異なるように感じられる。映像上の残酷さとあいまって、正視しづらいものも結構あった。終盤の一連の復讐は迫力がある。具体的な描写はされていないにもかかわらずこのような印象を受けるというのは観客の想像力を上手く働かせることに成功しているということなのだろう。

 娘との関係の描写が、この作品のもうひとつのテーマだと思うが、娘の感情描写は若干唐突な印象が強かった。そんなに簡単なものか?と思ってしまう。一方で育ての親の二人の描かれ方がとても好ましく、彼らのおかげで娘がまっすぐ育ったということなのかもしれない。

                        1. +

親切なクムジャさん
監督: パク・チャヌク
出演: イ・ヨンエチェ・ミンシク 、クォン・イェヨン 、オ・ダルス 、キム・シフ
評価: ★★★