四月の雪

コンサート会場で照明のチーフ・ディレクターの仕事をしているインス(ペ・ヨンジュン)の元に、妻が交通事故にあったという知らせが入る。(Yahoo!ムービー)

冬のソナタ』のペ・ヨンジュンと『ラブストーリー』のソン・イェジン主演。
 交通事故にあった妻の元に駆けつけてみると浮気相手の妻がいて・・・というところからストーリーが始まっていく。自分の妻なり、夫なりが事故にあったというショックに加え、実は浮気されていたというショック。相手への複雑な感情を持ったまま、意識の戻らないその人を看病する、鬱積した感情のぶつけどころがない。そうした追い詰められた状況で、身近にいた人に頼りたくなるかもしれない、というのは理解で着なくはない。それが自分の夫の浮気相手の夫(ややこしい!)であるかはわからないが。
 お互いの苦しみが実感として理解できる、秘密を共有しているという意味では、確かに、逆に心を見せられる相手なのだろう。

 ソヨン(ソン・イェジン)の夫が体調を崩して亡くなるに至る描写はちょっとしたうすら寒さを感じた。その前の看病の描写などを見ていてひょっとしてそうなるように仕向けのでは?と。勘ぐりすぎか。
 インスとソヨンが惹かれ合うきっかけを作ったのはソヨンのほうで、これまで主婦として夫に支えられる形で生きてきた彼女にとっては何かにすがりたい一心というのが本当で、そこにもともと愛があったのかは疑わしい。

 不倫をする人は、自分たちだけは他の不倫とは違うという意識を持っていることが多く、いろいろな理由付けをしている。この作品で描写されている「事情」もそうした「理由」ということになるのだろう。が、筆者としては「ロジック」として理解できても心情的には肯定することに抵抗がある。

 淡々としたストーリーで賛否両論の本作であるが、韓国でヒットせず、日本で好調なスタートとなっている(筆者が鑑賞したときは劇場の半分くらいしか入っていなかったが。)のは、日本における韓国ブームのほかにも不倫に対する感じ方について両国に温度差があることも一因なのではないかと思う。
 筆者としては静かな映画というのは好きな部類。この作品の場合、静かといっても登場人物たちの心は激しい嵐が吹き荒れているわけですが。そのあたりもう少し出してくれれば・・・というのが率直な感想。

 思わせぶりなラストシーンは韓国映画に良くある印象だが、本作のそれは、筆者には不要に思えた。インスの妻は生き残ったが故にこれから苦しむことになるのだ。そちらに思いがいってしまって、筆者の胸には良くない後味になってしまった。

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四月の雪
監督: ホ・ジノ
出演: ペ・ヨンジュンソン・イェジン 、イム・サンヒョ 、リュ・スンス
評価: ★★