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1971年スタンフォード大学で行われた心理実験を元にした映画。新聞広告の応募した24名を 看守役と囚人役に振り分け2週間をすごすという実験。実験に参加したごく普通の人々は、次第にその「役割」に自らの人格を侵食されていく・・・

 自分が置かれた環境に人格が影響を受け、次第にその役割を知らず知らず演じるようになる というのは実はみんな思い当たる部分があるはず。「朱に交われば赤くなる」とか 犬が飼い主に似るなんてのもこの「環境」の影響を表したものなのかもしれない。僕の親戚にも両親とも生粋の日本人なのにアメリカで生まれ育ったためにぱっと見アメリカ人にしか見えない人がいる。友人にも、もともととても誠実な人だったのに付き合った友人の影響を受けたのか、すっかり人柄が変わってしまった人がいる。

 さて翻って映画の話。この映画の中でもっとも豹変するのは、元はおとなしい感じだが人一倍コンプレックスを抱え、それなりに頭脳明晰な人物。逆におっとりとしているような人は一番最後まで正気を保つ。このへん、しっかり勉強して作っているのが伺えます。登場人物に軍人が混じっているのはきっと映画をまとめるため(エンディングに向けての必要な要素)に入れたというのがなんとなくわかってしまいますが、話自体には退屈せずに「入れ」ました。
 最後がちょっと物足りない感じがしましたが、「身の回りに転がった潜在的恐怖」を認識させられて、うーんとうなりました。

                        1. +

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監督: オリバー・ヒルツェヴィゲル
出演: モーリッツ・ブライプトロイ
評価: ★★★