吉祥天女
吉田秋生のコミックを映画化。金沢の地主の旧家の美しい娘と、彼女に関わったために悲劇に巻き込まれていく人々の物語。『花とアリス』の鈴木杏がこれまでの元気な役柄とは違った美貌で妖しい魅力を放つヒロイン。彼女に憧れる友人役に『Dear Friends ディア フレンズ』の本仮屋ユイカ。
平凡な高校生由以子(本仮屋ユイカ)のクラスに、美しい転校生小夜子(鈴木杏)が転入してくる。彼女は学校周辺の土地を所有する名家の生まれで、5歳から親せきの家に預けられていたが、12年ぶりに生家に戻ってきた。土地買収を企む新興の遠野家は彼女と長男暁(深水元基)との政略結婚の話を進めるが……。 (Yahoo!映画)
筆者は原作は未読で、その存在を映画化によって知った。
物語は悲劇へ向けて一直線、という感じなのだが、まったく対照的な小夜子と由以子が仲良くなり最後に残る希望的な小さな光となる。約35年前の金沢を舞台にした本作では描かれる高校生の姿も35年前の映画的なもの。タバコすいすぎ(笑 出てくるアイテムも横溝作品などを思い出させるように猟銃だったり。
本作は、鈴木杏が演じた妖しげな光を放つ大きな瞳と黒く長い髪をもつ少女の姿のための映画といってもいいだろう。少し太めの印象がある彼女だが、本作ではすらりと美しい少女をうまく見せてくれた。目力も相当なものだがアクションシーンもなかなかのもの。蹴られたら、本当に痛そうだ。
全篇を通して周りの人間を次々に惑わせていく彼女にとって、歳相応の少女の部分をつなぎとめた由以子を演じた本仮屋ユイカはまさに彼女の真骨頂というべきピュアな少女をそつなく演じていた。
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吉祥天女
監督: 及川中
出演: 鈴木杏 、本仮屋ユイカ 、勝地涼 、市川実日子 、深水元基 、津田寛治
評価: ★★★