デイジー

オランダで骨董店を営む祖父と暮らす画家の卵ヘヨンのもとに頻繁に届けられるデイジーの花。それは夏に訪れた郊外での忘れ難くも美しい夏の日の記憶を甦らせるものだった。名前も姿も知らない送り主こそ運命の恋人だと信じるヘヨンは、肖像画の客として花を持って現れたジョンウに心惹かれるようになる。そんなヘヨンの毎日を人知れず見守り続ける男パクウィ。花を育てクラシック音楽を愛するその男は暗殺のプロだった…。(goo)

 監督は『インファナル・アフェア』のアンドリュー・ラウ。全編オランダ・ロケで、チョン・ジヒョンチョン・ウソン、イ・ソンジェが織り成す悲恋。

 香港映画や韓国映画の無茶な設定・展開を武器に、やりたいことを詰め込んで作ったという感じの映画。チョン・ジヒョン主演ということで、公開初日に行ってきた。

 オランダである意味や恋愛と銃撃戦の両方を盛り込む意味が今ひとつ見えてこなかったが、ラストに語られる「未来はいくらでも変えられる」というフレーズにこの映画のすべてが詰まっているように思う。
 ほんの少しの間違いやずれ、行き違いが、気がつくと引き返すことのできない処に自分を運んできてしまうことがある。本作の登場した3人は、愛する人に出会う前に間違ってしまったり、出会い方を間違ってしまったり。些細な勘違いが悲劇を生んでしまった。しかし、逆に今がどうしようもないと思えても、少しずつでも未来を変えていくことはできるのだと、考えることもできる。

 時間軸を前後して、「実はあの時こうでした」という見せ方は、韓国映画の様式美(定型?)ともいえる手法だと思うが、本作も存分に使われている。筆者はパクウィの不器用ぶりに好感(共感)をもちながら鑑賞した。ヘヨンのキャラクターをもっと掘り下げてくれたらよかったのに。

                        1. +

デイジー
監督: アンドリュー・ラウ
出演: チョン・ジヒョンチョン・ウソン 、イ・ソンジェ 、チョン・ホジン 、デヴィッド・チャン[姜大衛]
評価: ★★★