DEATH NOTE デスノート the Last name
死神のリュークが落とした“デスノート”を手にし、殺人鬼キラとして凶悪犯を抹殺してきた夜神月(藤原竜也)。恋人が死んだ事件をきっかけに、キラ事件の捜査本部に入り込んだ彼は、キラ事件を解明するためにインターポールが送り込んできた天才青年L(松山ケンイチ)と壮絶な頭脳戦を繰り広げることになる。(Yahoo!映画)
『DEATH NOTE デスノート 前編』に続いて公開された後編にして完結編。前編のレビューで書いたとおり、原作の全てを本作に盛り込むのは無理なので、どのようなストーリーになるのか楽しみに鑑賞。
筆者は、原作の読者にも楽しめるなかなかの落とし方であったと思う。
前編の最後に邂逅する月とLの戦いと、第2のキラ 弥海砂(アマネ ミサ)を加えた人間ドラマを主軸に物語は展開されていく。
基本的に満足の物語の中で、気になってしまったのが月とミサが付き合うことになる展開。原作どおりで普通なら気にすることもないところであるし、月の戦略上も必要だから付き合うのだが、映画版オリジナルのキャラクターであった恋人の直後にこの展開になるところに違和感があった。月の悪っぷりを際立たせる効果もあるが・・・。
物語に戻ると、ストーリーの流れは原作に準じつつ、上手く再構築しており、脚本の出来は良かったと言ってしまおう。キャラクタの受け持つ役割は、少しずつ原作とは違えながらもひとつのゴールに向かってまとまりながら流れていく感覚、原作で時折垣間見えたコミカルな部分も映画なりに盛り込まれており作品自体の雰囲気も原作に近いものに仕上がっている。
映画自体のオリジナルの要素もしっかり盛り込まれている。
原作では殉死する月の父夜神総一郎の役割は映画においてかなり大きなものになっている。悲劇的な結末を迎えることになる二人の天才にして子供、月とLの全てを知り、その上でこれからを生きていく役目を担うのはやはり彼だろう。孤児院に育ったLも彼に対して父親の影を垣間見ているようなそぶりを見せる。
そしてクライマックス。デスノートのストーリー上非常に大事な月の結末をしっかり抑える方法としてかなり完成度の高い落とし方だったのではないか。デスノートの既存のルールを使って、作品の魅力である「仕掛け」を行うことによって作り出されたこの終わりかたに、原作を読んでいて何度も感じた「膝を打つ」ような感覚を抱いた。
それからこれは書いておかねばと思うのが月役の藤原竜也の演技。イイ人を演じる月、良い人状態の月、悪の象徴たるキラを非常に上手く演じていたと思う。中でも秀逸だったのが「思い出した」時の表情。これにはゾクリとした。
ミサ役の戸田恵梨香も非常に魅力的にハチャメチャなキャラクターを演じていた。暗い過去を持ち、愛する人にひたすら一途な女の子にぴたりと決まっていた。
原作者はあくまでエンターテイメント、と語っているが、「正義とは」「人の命とは」と考えずにはいられない。
正義の殺人などない。
そして、文字が人を殺すということ。インターネットの普及で、文字の持つ力は、その威力を発揮する場を一気に広げた。たった一言の発言、書き込みの重さについて、今一度考えたい。
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DEATH NOTE デスノート the Last name
監督: 金子修介
出演: 藤原竜也 、松山ケンイチ 、瀬戸朝香 、香椎由宇 、細川茂樹、戸田恵梨香
原作: 大場つぐみ 、小畑健
評価: ★★★★
■『DEATH NOTE デスノート 前編』レビュー
■Yahoo!『DEATH NOTE デスノート the Last name 』特集
■舞台挨拶の様子(ツヨシとミライとぽえぽえ娘)