EUREKA ユリイカ

青山真治が北九州を舞台に描いた作品第2弾。心に深い傷を負った人々の、崩壊と再生への旅を描く

九州の田舎町で起こったバスジャック事件に遭遇し、生き残った運転手の沢井と中学生と小学生の兄妹。3人は凄惨な現場を体験し心に深い傷を負う。2年後、事件直後、妻を置いて消息を絶っていた沢井は再びこの町に戻ってきた。同じころ、周辺では通り魔の犯行と思われる連続殺人事件が発生し、次第に疑惑の目が沢井にも向けられるようになる。兄妹が今も二人だけで生活していることを知った沢井は、突然兄妹の家に行き、そこで奇妙な共同生活を始める。(Yahoo!映画)
 物語はモノクロームで描かれる。これはバスジャック事件に巻き込まれることで傷ついた彼らの心を通してみた世界の物語。沢井や兄妹にとって事件から2年たっても自分の中の時計は止まったままであり、いくら旅をしても、一歩もそこから動けずにいるのだ。

 沢井の周りには、それなりに彼らのことを気遣い、心配する人たちがいるのだが、自然に受け入れることが出来ず距離を置いてしまう。沢井と兄妹がごく自然に馴染むことができたのはその心に開いた穴を分かり合えたから。だが、お互いの傷をなめあっていても仕方がない。彼らは事件のあった場所から一台のバスにのって旅に出る。旅の中で秘められた深い傷が表出するが、彼らの心は徐々に動き出す。

ラストカットの彩りは、まさに心の色であり、「現在」への帰還を表す。ヴェンダースの「ベルリン」を彷彿とさせるこのシーンのための3時間。

兄妹のいとこが登場するが、Helpless で主人公のクラスメイトだった男である。
宮崎兄妹が演じる兄妹はまだまだ幼く、顔立ちもかなり似ているのが良くわかる
3時間と言うのは確かにちょっと長かった(笑

                        1. +

EUREKA ユリイカ
監督: 青山真治
出演: 役所広司宮崎あおい宮崎将斉藤陽一郎国生さゆり 、光石研
評価: ★★★