大日本人

あえて言おう。駄作であると。

ひっそりと平凡に暮らす大佐藤は、6代目大日本人として防衛庁から不定期に依頼される仕事で生計を立てていた。しかし以前とは違い、大日本人に対する世間の目は厳しく、活躍の場も次第に減っていた。そんなある日、いつものように防衛庁の命を受けた大佐藤は、電変場に向かいある儀式を行うのだが…。(goo映画
 初めての作品ということで力が入りすぎ、あれもしよう、これもしようと頑張った。しかしラストが近づいてくると不安になってくる。真剣な自分を見て皆が笑ったらどうしよう・・・思わずおちゃらけて、言ってしまった「ははは、わざとだよ、わざと。なに?判らないの?」

 ドキュメント風に始まる作品は一言で言ってだらだらと間延びした映像。時折はさまれるギャグともいえないようなアクセントもわかり易いのに「だから?」といいたくなってしまう。
 CGは下品ではあるがそれなりに力を入れて作っていたし、ここをグッと推していくなら観られたかもしれないのだが、監督は確信がもてなかったようだ。それまで作り上げてきたものを放棄してしまう。セットなど、どうですか?この拘りの作りこみとばかりに作っていたのに、なんとももったいない。

 全体的には爆笑できるようなものではなく、シュールな笑いの味付けで、背景に社会問題、国際問題
などを盛り込んで・・・・「赤」「北朝鮮」「アメリカへの依存・隷属」「異端の排斥」「家族」などなど。

 これまでにない映画をと意気込んで作っただけあり「観たことがない」といってほしいオーラがもっとも強く客席に届いた(トラバ先の方も書かれている(笑))のだが、骨子になっている部分や演出が結果的に既存の作品を彷彿とさせる。作風に敬意を表してヒーローモノ縛りで敢えてあげつらうなら、

「正義の味方がもし実在したとして」→「迷惑がられる」
 古くは「ザンボット3」、ガメラや歴代ウルトラマンも大切なものを壊され、恨まれるエピソードが繰り返し描かれてきた。

ラストのぶっ壊し
 もっとも有名なのはエヴァンゲリオンあたりか

 これまでかなりの数の映画を劇場で見てきたが、これほど客がたち歩く(出て行ったきりの人は多分いなかったが、途中退出して戻ってきたり)のを見たのは初めて。20人弱が、延々と続くぼそぼそとした喋りの間に、トイレ休憩とばかりに席を立っていた。
 上映後も無言で席を立つ人ばかりであった。

 自らの映画レビュー連載に綴られたエクスキューズの山を見て少なからず失望感を覚えた。

                        1. +

大日本人
監督: 松本人志
出演: 松本人志竹内力UA神木隆之介 、海原はるか 、板尾創路街田しおん
評価: ★