ホーンテッド ハイウェイ

言い争いから誤って妻を殺してしまったグレッグ(ランド・ギャンブル)は、死体をトランクに入れハイウェイを逃走中、スビード違反で警察の尋問を受ける。どうにかやり過ごしたものの緊張と疲労が頂点に達した彼は、徐々に現実と妄想の区別がつかなくなってゆく。そんな中、前方不注意から突然現れた女性をひいてしまう。(Yahoo!映画

 本筋とは関係ないところに最大の発見をした。

 レイトショーで鑑賞しに行ったのだが、上映に先立ってすずきじゅんいち監督のトークショーがあった。観客の数およそ15人・・・会場に入ったときの監督のつぶやきまでが良く聞こえた「厳しいですねぇ」

 「日本映画とハリウッド映画の作り方の違い」と紹介されて始まったのだが、内容としては作品を作った経緯や、製作に際してとにかく金がない中で作ったこと、準備期間が約5ヶ月でプロットもゼロの段階からクランクインにこぎつけたこと、映画を見ていろいろ言う人がいるけど、予算や撮影期間など作品を取り巻く環境がそれぞれ違っていてその中でどうなのかというところを考えて理解して欲しいというような話であった。時間切れで会場をあとにした監督の「撮り始めるところまでしかいかなかったよ」というのにちょっと笑ってしまった。あのペースだと1時間くらいかかるよ、監督。

 作品が出来上がってスクリーンにかかり、同じ料金を取っていたら製作の裏事情は観客にはまったく関係ない。同業者同士の評価でいろいろ考慮するのはいいと思うが、客に向かってそんなエクスキューズをつけるのはどうだろう。

 作品を見ての感想は、監督がエクスキューズしたくなるのもわかる出来。

 浮気がばれそうになって誤って妻を殺してしまった男の壊れていく様を描いた物語なのだが、どうにも落ち着きが無いどっちつかずの印象ばかりが強い。どこかで観たような観客を驚かせようとする演出をつなぎ合わせてやってみた、という感じで、ショック系のホラーなのかサスペンス系スリラーなのか、話の脈絡の無さからも不条理系なのか?とさえ思わせるようなストーリー。

 もっとも強い印象を残したのは吉川ひなの。『カミュなんて知らない』でも恐ろしい作品にでているが、彼女の持つ独特な浮世離れした雰囲気はホラーに良く合う。

                        1. +

ホーンテッド ハイウェイ
監督: すずきじゅんいち
出演: ランド・ギャンブル 、吉川ひなの 、ローラ・パットニー 、エイドリアン・ロバーツ 、チャールズ・エメット 、ダン・ホームズ
評価: ★