ただ、君を愛してる

何も言わずに自分の前から姿を消した静流(宮崎あおい)に会うため、誠人(玉木宏)はクリスマスでにぎわうNYへとやってきた。6年前、誠人は個性的な静流と出会い、静流は一目で彼に恋をした。写真が趣味の誠人と一緒にいたい一心で、静流もカメラを扱い始めるが、誠人は別の女性みゆき(黒木メイサ)に片思いをしていた。(Yahoo!映画

いま、会いにゆきます』の市川拓司の小説「恋愛寫眞 もうひとつの物語」を映画化。この原作は2003年に公開された映画『恋愛写真 Collage of Our Life』の脚本を発案として書き下ろされたもので、それが今度は映画化されるという面白い連鎖を見せている。

主演は『変身』の玉木宏と、宮崎あおい。二人の友人に、『初恋』で宮崎を共演した小出恵介、『着信アリ Final』『カミュなんて知らない』の黒木メイサら。

 コンプレックスを抱え、人と距離を縮めることが苦手な二人は、そのお互いの臆病さゆえに近づくことができたのだろう。不器用ながらもしっかりと伝わってくる優しさや一生懸命さは見ている人間が思わず応援したくなってしまう魅力を放っている。自らの運命を知っている静流のひたむきな生き様は、自らを省みることを我々に迫っているかのようだ。

 森のシーンを代表として美しいシーンがふんだんに楽しめるのもこの作品の魅力。光と空気のきらめきがスクリーンに広がるのを観て、なんとも心が和らぐのが感じられた。

 また、それほど多くはないが学校の友人たちと誠人のシーン。入学してすぐは、なかなか溶け込めなかった誠人が、友人と遊びに出かけ、病気になればおぶって病院へ走ってくれる。周囲に受け入れられ、自らも周囲を受け入れられるようになっていった誠人の成長がさりげなく、しっかりと描かれていて筆者は目を細めてしまうのだ。

 宮崎あおいの輝きは本作でも別格。ユニークな役柄を魅力たっぷりに演じている。

 愛する人の中で生き続けたいと願う静流の気持ちは、とても強く心に響いた。自分のことを覚えていてほしい人のことを自分も決して忘れないようにしたい。

                        1. +

ただ、君を愛してる
監督: 新城毅彦
出演: 玉木宏 、宮崎あおい 、黒木メイサ 、小出恵介上原美佐青木崇高大西麻恵
評価: ★★★★