ベルナのしっぽ

目の不自由なしずく(白石美帆)と夫、隆一(田辺誠一)のもとに、盲導犬ベルナがやってきた。盲導犬に対する世間の理解が低い中、ベルナとパートナーを組み、自分たちで子育てをしようと2人は奮闘する。ベルナは家族の一員として暮らしきずなを深めていくが、息子の成長とともに年老いたベルナに盲導犬を引退する時期が迫っていた。(Yahoo!映画

 郡司ななえの原作を元に映画のオリジナルの設定などを加えて生まれた作品。「盲導犬の話」と括られそうだが、本作の主題は視力を失った主人公しずくの人生であり、辛いこと、悲しいこともあるが、それでも人生は続いていく、ということだ。
 数々の困難に出会いながらも体当たりで突き進んでいくしずくの力強さにこそ、観客は励まされるのだと思う。もちろん人生のパートナー、盲導犬ベルナの活躍は素敵で、愛らしく、凛としている。彼女の生き様としずくの生き様はごく自然に重なっていくのだ。

 人は、否、人だけでない全てのモノは、互いに周りに影響しあい、支えあいながら生きているということを改めて認識することができる作品。

 主人公、しずくの白石美帆は吹っ切れた演技でドラマなどでも活躍しているが、特別な特殊メイクなどをせずにかなり年齢差を感じさせる演技ができていたように思う。見た目というよりは内面的な変化からそう感じさせるということに成功している。これはもちろん演出、脚本の力との相乗効果ということだ。

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ベルナのしっぽ
監督: 山口晃
出演: 白石美帆田辺誠一市毛良枝板谷由夏 、根岸季衣 、北見敏之螢雪次朗 、中村咲哉
評価: ★★★