アヒルと鴨のコインロッカー

 伊坂幸太郎の原作。ちょうど読み逃していたので、原作を読むのを我慢して鑑賞。ボブ・ディランの不朽の名曲「風に吹かれて」が印象的。
大学入学のため仙台に引っ越してきた椎名(濱田岳)は、奇妙な隣人の河崎(瑛太)に出会う。初対面だというのに河崎は、同じアパートに住む孤独なブータン人留学生に広辞苑を贈るため、本屋を襲おうと奇妙な計画を持ちかける。そんな話に乗る気などなかった椎名だが、翌日、モデルガンを片手に書店の裏口に立っていた……。(Yahoo!映画

 御人好しな雰囲気が似合う濱田岳 、不可思議な瑛太 、凛凛しい関めぐみ。それぞれがそれぞれに頑張っていたと思う。筆者があまり好きじゃない松田龍平も存在感を出していた。

 物語は大学入学のため仙台にやってきた主人公が出会うある人々の人生の一場面。そこに飛び入り参加しているときには判らなかった、ある切ない物語が徐々に語られていく。

 後半明かされるどんでん返しは筆者は予想を裏切られたし、おもしろかったのだが、その後語られる話の中のブータン人の描写がちょっと作りすぎな感じで滑稽だった。

 ミステリー仕立てのストーリーテリングだがそこに在るのは人との出会いの不思議さとせつなさと素晴らしさ。「仙台にきたら牛タン」繰り返し語られる“お決まり”はラストシーンまでお預けである。

 作品に漂う雰囲気は決して明るくないのだが、かといって暗い感じでもない。語られる出来事がハッピーばかりでないのだが明るめの曇り空のような、不思議なムードであった。

                        1. +

アヒルと鴨のコインロッカー
監督: 中村義洋
出演: 濱田岳 、瑛太 、関めぐみ田村圭生 、関暁夫 、眞島秀和 、野村恵里平田薫 、寺十吾 、恩田括 、キムラ緑子なぎら健壱松田龍平 、大塚寧々
評価: ★★★

君に捧げる初恋

 幼馴染の恋愛コメディ。『猟奇的な彼女』のチャ・テヒョンと、『四月の雪』のソン・イェジン。いかにも韓国映画的。
高校一の問題児テイル(チャ・テヒョン)の望みは幼なじみの初恋の君、イルメ(ソン・イェジン)と結婚することだけ。彼は自分の担任教師であり、彼女の父でもあるヨンダル(ユ・ドングン)に早く結婚させろと迫り大騒ぎする。困った父は全国30万番台の成績のテイルが3000番以内に入れば娘を嫁にやると宣言するが……。(Yahoo!映画

 主人公に人間的な魅力が乏しく、感情移入して見ることが出来なかった。ただひたすらに自分の感情、自分の欲望を声高に叫び、相手の感情を一切慮ることもなく、周囲が自分の思い通りにならないことに憤る。父親との約束はいいから本人と約束したのか?というところがずっとひっかかる。

 ヒロインの心の動きも良くわからないまま唐突な印象ばかりが目立つ。展開もまあ、いつもの、というかなんと言うか(笑

                        1. +

君に捧げる初恋
監督: オ・ジョンノク
出演: ソン・イェジンチャ・テヒョン 、ユ・ドングン 、ソン・ジル
評価: ★

予言

感染』と同時公開のホラー作品。つのだじろうの「恐怖新聞」を基にしたオリジナルストーリー
里見英樹三上博史)は、妻・綾香(酒井法子)と娘とともにドライブ中に、電話ボックスで古びた新聞を見つける。そこに掲載されている記事に目を通すとそれは自分の娘の死亡記事だった。

 所謂怖い作品ではない。(家族を持つ人間にとってはとても恐ろしい話だが)

 逃れようのない災厄に見舞われたとき、人は何を守ろうとするのか。

 家族を守り、安心して死んでいく里見だが、命を賭して守った娘の瞳に映るものは・・・

                        1. +

予言
監督:鶴田法男
出演:三上博史酒井法子堀北真希小野真弓鶴水瑠衣藤真美穂 、井上花菜 、伴大介山路和弘山本圭吉行和子
評価: ★

神のロジック人間のマジック

 ここはどこ?何のために?世界中から集められ、謎の"学校"で奇妙な犯人当てクイズを課される〈ぼくら〉。やがてひとりの新入生が〈学校〉にひそむ"邪悪なモノ"を目覚めさせたとき、共同体を悲劇が襲う―。

 主人公とその仲間たちは子供で、そこで展開される推理や論理構築が稚拙だなと思いながら、読み進んだ。しかしそれらが全て計算しつくされた展開なのだ。

 この結末と細かく張り巡らせられた伏線が、すばらしい。

                        1. +

神のロジック人間のマジック
著者: 西澤 保彦
評価: ★★★★

スカイハイ [劇場版]

恋人との結婚式を数日後に控えている神崎刑事は最近、体の一部を切り取られるという猟奇殺人事件に悩まされていた。ある日、女性の他殺体が発見される。やはり、これまでと同様の手口で殺害されており、これで犠牲者は3人にのぼった。そして結婚式当日、4人目の犠牲者が出てしまう。その被害者とは、不幸にも神崎の婚約者・美奈だった。同じ頃、彼女は自分が殺されたことも気付かずに、“怨みの門”の前に立っていた。門番“イズコ”に3つの選択を迫られた美奈は、記憶を辿って殺された真相を掴むために現世へ戻る道を選ぶが…。(Yahoo!映画
 人気ドラマの映画化だが、ドラマと映画ではかなり毛色が違う。監督は『あずみ』『ゴジラ FINAL WARS』などの北村龍平。アクションに定評のある監督で、本作も半分アクションものだ。スカイハイの世界観は別のところにあったはずでは?という違和感はあるものの、大沢たかお天使の牙 B.T.A. )や釈由美子はアクションが上手いのでそれなりに観られた。

                        1. +

スカイハイ [劇場版]
監督: 北村龍平
出演: 釈由美子大沢たかお谷原章介 、戸田菜穂 、田口浩正岡本綾
評価: ★★

問題のない私たち

中学3年の澪は仲間と一緒に同じクラスのマリアをイジメていた。これは“不快感への正当防衛であってイジメではない”という彼女なりの理屈を展開して一向に悪びれる様子はない。ところがそこへ、転校生の麻綺が出現したことで事態は一変してしまう。今度は麻綺がクラスのリーダーになり、クラスメイトたちによる澪への陰惨にして壮絶なイジメが開始されたのだった。教師たちは見て見ぬフリ。信じていた幼なじみにも裏切られ、ついには自殺を図る澪。そんな澪に唯一救いの手を差し延べたのは誰であろう、澪がイジメていたマリアだった。(Yahoo!映画
 いじめが主題の本作。現代に至って変質しているいじめの現実をリアルに描いている。もちろん映画だからその解決方法は少々楽天的。

 周囲から浮かないこと、常にターゲットが必要であり、それが誰でもかまわないこと。現代のいじめは実に残酷で、切ない。いじめられる側は誰でもかまわないということからも、「いじめられる側の責任」という言説が意味のないものであるとわかる。

 若手の所謂「アイドル」が多数出演していることでジャンル訳を誤って認識されているかもしれないが、本作は自らの体験を基にしか考えていない大人が見るべき作品なのかもしれない。

                        1. +

問題のない私たち
監督: 森岡利行
出演: 黒川芽以 、沢尻エリカ 、美波 、森絵梨佳 、小松愛 、浜田晃
評価: ★★★

恋する日曜日 私。恋した

 BS−iのドラマシリーズ「恋する日曜日」の劇場版第2弾。
母をガンで亡くし、自らも余命3か月と宣告された17歳のなぎさ(堀北真希)は、幼いころ暮らした町へ旅立つ。そこには初恋の人、聡(窪塚俊介)が今も住んでおり、病気のことは告げずに彼の家に泊めてもらう。聡と過ごす中、楽しかった思い出をふり返りつつ、彼への想いを募らせるなぎさだったが、聡は人妻と不倫をしていた。 (Yahoo!映画

 映画としては未完成といった印象が強い。手持ちカメラのブレもかなり酷く、演出的効果より不安定な印象を観客に与えているようだ。
 冒頭で自らの余命を知る主人公とその父親があまりに淡々としているのに違和感を感じる。そうしたリアクションに至るものが描かれていないと、観客としては受け入れにくかった・・・。
 物語自体も、特別なドラマチックな展開が起こるわけではなく、実際はこういうものカナと思える展開だが、クライマックスの歌が作品にマッチしていない。

 果たされることのない「またね。」この一言だけのための作品。

                        1. +

恋する日曜日 私。恋した
監督: 廣木隆一
出演: 堀北真希窪塚俊介 、岩本千波 、若松武史吹越満高岡早紀
評価: ★★